審査用紙です。0〜100点満点でお願いします
エントリーNO.031 へこきち
ハァ〜 このラーメン屋初めて1ヶ月 お客さんが来ないなぁ〜
なにがいけないんだろう
ちょっと考えてみるか
まずお店の名前から考えてみるか
ラーメン「伸」 悪くないと思うんだけどなぁ〜
このお店が伸びますようにという意味を込めたんだけどなぁ〜
麺が伸びるのをイメージされちゃうんかなぁ〜
何にしよう?

ラーメン「美味」
ハードルあがっちゃうよなぁ〜 これで美味しくなかったらクレームくるよなぁ〜

ラーメン「暗中模索」
決まってからやれよ!!って感じだよな〜

ラーメン「月面着陸」
神秘的だなぁ〜 でもよく分からないよな これじゃ

ラーメン「麺の達人」
どっかのカップ麺だよなぁ いっそのこと長いラーメンの名前にするか インパクトもあるし

ラーメン「生まれてきてごめんなさいの人が作るラーメン」
暗い!! 暗すぎる!!

ラーメン「ここの豚肉は偽造です」
やめやめ!! 客が来なくなる

ラーメン「口に入れた瞬間とろけるような甘さが広がる杏仁豆腐」
ラーメン関係なくなっちゃた!! あえて短いのはどうだろう

ラーメン「とり」
チャーシューに鶏肉を使用してます いやそんなのチャーシューじゃない

ラーメン「エア」
全部エアだと思われる!!

ラーメン「トロロ」
そんなの入ってるラーメン見たことない!!

ラーメン「牛丼」
ラーメン屋じゃなくなってる!!

ラーメン「伸」
いやこれ元の店名!!

ラーメン「神」
だからハードル高い!!

やっぱ四字熟語かな

ラーメン「一意専心」
まだマシだよな ラーメン以外のことに手をつけてませんって感じで
よしこれでいこう

次はメニューか
醤油ラーメンだけでは幅がないよな

味噌カツラーメン
名古屋か!! 名古屋にあるかどうか分からんけどあまり美味しくなさそうだな まぁ変わった物好きの人のためにおいとくか

マヨラーメン
マヨラーにオススメ!!ってそもそもそんなに人口いないか まぁおいとこう

鮭ラーメン
これは結構いけるかもしれない 他にはないようなところだし

サブメニューも決めないとな

オムライスチャーハン
ほぼ天津飯だよな

ハバネロチャーハン
辛い!! これは辛すぎる!! でも冬場結構人気出るかもしれない

次はギョーザか

鳥ギョーザ
鶏肉を使ったギョーザは新鮮だよね

ラーメンギョーザ
中に麺が入ってる ラーメンとセットで頼むもんじゃないよな

次はデザートか
マンゴープリンとか杏仁豆腐とかベタなやつと何用意しよう?

ラムネ
飲み物じゃん!!

りんごあめ
屋台か!!

ピッツァまん
ピザまんって書けよ!! イタリアをこよなく愛していますってか

こんなもんでいいだろう

あとは何が必要かな?
看板娘か
これは後に募集するとして
後はお客様の意見を聞くために目安箱を配置するかな
よし これで完璧!!

〜1ヵ月後〜
はぁ〜 また客が来なくなった
目安箱でも読むか

『味噌カツラーメンは味噌が余計でした』
なにカツラーメンにしろということか

『ピッツァでピザでもどっちでもいいです』
めっちゃ普通の意見だな 味の感想を言ってほしいけど…

『ハバネロチャーハンが思ったよりも辛くなかったです』
それはあんたが辛いのに適正ついてるだけだろ!!

『烏ギョーザってなんですか?』
いや鳥だよ!! おまえ烏丸出身だな? 見慣れてるからそうなるんだよ

『看板娘がいないんじゃ儲かりませんよ』
募集するの忘れてたー!!


エントリーNO.032 ザースー
説明/大きなかぶ


おじいさんはかぶのたねをまきました。
あまいあまいかぶになれ。大きな大きなかぶになれ。
あまいあまい、大きな大きなかぶになりました。
   おじいさんは、かぶをぬこうとしました。
うんとこしょ、どっこいしょ。
けれども、かぶはぬけません。
おじいさんは、おばあさんをよんできました。
おばあさん。
    なんですか、おじいさん。
大きなかぶができたんだが、あんまり大きいもんだからぬけないんだよ。
ちょっと、てつだってくれないか。
私に頼むより業者に頼んだらどうですか。
業者のユンボによりかぶは抜けましたとさ。めでたしめでたし。

おじいさんは大きなかぶをぬこうとしました。
うんとこしょ、どっこいしょ。
けれども、かぶはぬけません。
おじいさんは、おばあさんをよんできました。
おばあさん。
なんですか、おじいさん。
大きなかぶができたんだが、あんまり大きいもんだからぬけないんだよ。
ちょっと、てつだってくれないか。
何言ってるんですか、他人の家の畑のかぶを盗むのは犯罪ですよ。
おじいさんは牢屋へ入りましたとさ。めでたしめでたし。

おじいさんは大きなかぶをぬこうとしました。
うんとこしょ、どっこいしょ。
けれども、かぶはぬけません。
おじいさんは、おばあさんをよんできました。
おばあさん。
なんですか、おじいさん。
大きなかぶができたんだが、あんまり大きいもんだからぬけないんだよ。
ちょっと、てつだってくれないか。
そんなことより早くこの離婚届にサインしてください。
こうしておばあさんは旧姓に戻りましたとさ。めでたしめでたし。

おじいさんは大きなかぶをぬこうとしました。
うんとこしょ、どっこいしょ。
けれども、かぶはぬけません。
おじいさんは、おばあさんをよんできました。
おばあさん。
なんですか、おじいさん。
大きなかぶができたんだが、あんまり大きいもんだからぬけないんだよ。
ちょっと、てつだってくれないか。
いいですけど、それ抜いたらマグマが噴き出しますよ。
かぶが抜かれることはありませんでした。めでたしめでたし。

おじいさんは大きなかぶをぬこうとしました。
スポッ
案外簡単に抜けました。めでたしめでたし。

おじいさんは大きなかぶをぬこうとしました。
うんとこしょ、どっこいしょ。
けれども、かぶはぬけません。
おじいさんは、おばあさんをよんできました。
おばあさん。
なんですか、おじいさん。
大きなかぶができたんだが、あんまり大きいもんだからぬけないんだよ。
ちょっと、てつだってくれないか。
やだ。
そんなこというなよ。(泣き顔のおじいさん)
へいへい、分かったよ。
うんとこしょ、どっこいしょ。
けれども、かぶはぬけません。
おばあさんはまごをよんできました。
なあ、まごたち。
なんですか、おばあさん。
さっさとこのかぶを抜いてくれ。
ユンボを使ったらどうですか?
ウィーン、ウィーン。
けれども、かぶはぬけません。
駄目じゃねーか!(ボコッ)
うっ!
(怒りをあらわにするおばあさんにみぞおちにパンチをくらうおじいさんとまごたち)
ユンボ使っても無理なら100%無理じゃね?
おばあさんがそう言うと、UFOがかぶを持っていってしまいました。
止め処なく溢れ出るマグマ。
うわー。
こうしてUFOに乗っていた宇宙人は殺人と道路交通法違反で死刑となりましたとさ。
めでたしめでたし。


この作品はノンフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係あります。

エントリーNO.033 NIKE
(舞台の左端、スポットライトの先にNが座っている。絵本を開く。)

N:『お花とうさぎ』。ある森でのお話。小さなおうちに、うさぎの親子が住んでおりました。
  うさぎの子供、名前はフィー。フィーは、薄いピンク色の毛並みを持つ、とってもかわいいうさぎです。

(右端にもスポットライト。Iが座り、絵本を開く。)

I:『お花とうさぎ 2008Remix』。

N「!?」

I:ある森でのお話。ちょっぴり狭いマンションに、うさぎの親子が住んでおりました。
  うさぎの子供、名前はとしろう。としろうは、薄い深緑色の毛並みを持つ、ちょっぴりでっかいうさぎです。

N「・・・・。」
I「どーぞ。」

N:ある日、フィーはうさぎのお母さんにお使いを頼まれました。
 『フィーや。森の魚屋さんまでサンマを買ってきてくれないかい?』

I:ある日、としろうはうさぎのお母さんにお使いを頼まれました。
 『としろう、森のdocomoショップまでFOMAを買ってきてくれないかい?』

N:『うん!わかった!行ってくる!』フィーは元気に家を飛び出していきましたが、
  玄関を出てすぐに、石につまづき転んでしまいました。それを見ていたお母さんは、
 『大丈夫かしら・・』と、フィーのことを心配しました。

I:『はいはい。どーせ行かなきゃ晩飯抜きだろ?』としろうは家を出ましたが、
  玄関を出てすぐに、横になって眠ってしまいました。それを見ていたお母さんは、
 『大丈夫かしら・・』と、日本の政治を心配しました。

N:痛みをこらえて起き上がり、フィーは森の中を颯爽と駆け出しました。
  足が速いことが、フィーの自慢のひとつです。

I:2時間寝たあと起き上がり、としろうを乗せたタクシーは颯爽と森の中を駆け出しました。
  お金をたくさん持っていることが、としろうの自慢のひとつです。

N:「転んだ足はちょっぴり痛いけど、心配ないさ。そのうち治るもん。」
  とっても元気なうさぎです。本当は痛いはずなのに・・。

I:「初乗り料金の値上げはちょっぴり痛いけど、心配ないさ。後で親からせびるもん。」
  とっても現金なうさぎです。お金持ってるはずなのに・・。

N:お魚屋さんが近づいてきました。少し疲れたフィーは、
 『ここからは歩いて進もう。』と考え、歩くことにしました。

I:ショップが近づいてきました。少し小太りのとしろうは、
 『もうすぐ合コンもあるし、少し引き締めとこう。』と考え、歩くことにしました。

N:森の中で、仲良しのたぬきさんに出会いました。
 『おつかいかな?フィーは偉いね。』とほめられたフィー。とってもうれしそう。

I:森の中で、仲良しの獏さんに出会いました。
 『おつかいかな?としろうは偉いね。』とほめられながら夢を食われたとしろう。とっても苦しそう。





N:川に着いたフィー。しかしここで、大きな問題が。
  川を渡るために必要な橋が、いつのまにかボロボロに壊れていました。
  これでは川が渡れません。お魚屋さんにもいけません。

I:川に着いたとしろう。しかしここで、大きな問題が。
  川沿いにある行きつけのそば屋が、いつのまにかケンタッキーに変わっていました。
  これではそばが食えません。おいしいそばが食えません。

N:フィーは丸太を見つけました。しかし、この重い丸太は1人では動かせません。

I:としろうはそば屋の看板を見つけました。しかし、あの恋しい味は、もう戻ってきません。

N:フィーは悲しみました。

I:としろうは悲しみました。

N:しかし、くよくよしている場合ではありません!
  フィーは、川を渡る方法を考えました。

I:しかし、くよくよしている場合ではありません!
  としろうは、パワプロで横浜ベイスターズをもうちょっと強くする方法を考えました。

N:よーしこうなったら・・!と、フィーは川から少し距離を置きました。

I:よーしこうなったら・・!と、としろうはアレンジモードで上原を入団させました。

N:そしてフィーは、ダッシュで川へ向かっていきました。

I:そしてチームは、開幕ダッシュで優勝へ向かっていきました。

N:フィーは大きくジャンプして、川を飛び越えてしまいました。
  勇気を持ってピンチを乗り越えたフィーは、お魚屋さんに辿り着きました。

I:としろうは本来の目的を思い出して、ルールを飛び越えてしまいました。
  現実という壁を乗り越えたとしろうは、出来もしない瞬間移動でdocomoショップに辿り着きました。

N:サンマを買って、フィーはおうちに帰ります。

I:新規契約をして、としろうはマンションに帰ります。

N:帰り道もまた川を飛び越え、おうちに向かうフィー。

I:帰り道もまたルールを飛び越え・・・
  ようとしましたが、まだゲージが溜まっていないので瞬間移動はできませんでした。






N:その帰り道。フィーは『もうすぐ暗くなっちゃう!』と、大急ぎ。
  ところが、急いで帰ろうとしたので小石につまずき、すってんころりん。
  またまた転んでしまったフィー。今度は痛みが大きく、ついには泣き出してしまいました。

I:その帰り道。としろうは『もうすぐもしツア始まっちゃう!』と、大急ぎ。
  ところが、急いで帰ろうとしたので小石につまづき、すってんころりん。
  生まれて初めて転んでしまったとしろう。精神的な痛みが大きく、ついには泣き出してしまいました。

N:えーん、えーんと泣きじゃくるフィー。

I:ちくしょう!ちくしょう!オレは所詮この程度の男だ・・!と泣きじゃくるとしろう。

N:しかし。

I:しかし。

両:泣きながらふと上を向くと、一輪の赤いお花が咲いていました。

N:そのお花は、少し汚れていました。きっと誰かに踏まれたり。

I:風に吹かれたり、雨に打たれたり。

N:それでもそのお花は、立派に咲いていました。

I:もっと大きなお花になろうと、強く咲いていました。

N:そんなお花を見たフィーは、思いました。

I:そんなお花を見たとしろうは、思いました。

両:こんなことで挫けちゃいけない。もっと、もっとがんばらないと。

N:小さなお花に、大きな元気をもらったフィー。

I:小さなお花に、大きな元気をもらったとしろう。

N:元気になったフィーは、歌を歌いたくなりました。
 『ランランラン、ランランラン♪』

I:元気になったとしろうは、歌を歌いたくなりました。
 『咲〜き誇る花は〜、散るからこそに美しい〜♪』

N:すると森の仲間が集まってきました!

I:すると一世風靡の仲間が集まってきました!

N:フィーは森の仲間と遊びました!

I:としろうは一世風靡の仲間と暴れました!

N:わいわい!

I:そいや!

N:わいわい!

I:そいやそいや!!





N:とっても大変だったけど、とっても楽しかったおつかい。

I:とっても大変だったけど、とっても男臭かったおつかい。

N:フィーはおうちに帰ると、すぐに眠ってしまいました。

I:としろうはおうちに帰ると、すぐに眠ってしまいました。女と。

N:【お花とうさぎ】おしまい。

I:【お花と柳葉】

N「変わってるじゃん!」

エントリーNO.034 HIGH−POP
小沢 さて始まりました新番組「山本直弘のカンタンクッキング」
   司会の小沢昇です

伊上 伊上貴敏です

小沢 もうさっそくなんですが誰ですか山本直弘

伊上 あちらのカメラマンさんです

小沢 あ、名前提供ありがとうございます

伊上 最後のクレジットにスペシャルサンクスで入れておきますのでね

小沢 カメラマンとスペシャルサンクスで2回映る事になりますね。

伊上 早く料理できるようになってくださいね

小沢 いずれ任せるんですか

伊上 いや別に

小沢 生活でも気遣ったんですか

伊上 では料理に移りましょうか

小沢 今日は何を作るんでしょうか

伊上 今日は餃子を作ります

小沢 餃子ですか、ではまず材料を

伊上 あ、材料は順次出していきますので

小沢 そうですか

伊上 余るんですよ材料が

小沢 何故でしょうか

伊上 いつも出来あがった料理の横にガラムマサラが

小沢 大体使いませんからね
   そろそろ料理を作りましょうか

伊上 ではあんを作りましょう

小沢 中身ですね

伊上 まずはこの小豆を

小沢 あんこは作りませんよ

伊上 違うんですか

小沢 あんこは餃子には入れませんね

伊上 出来あがったあんこがこちらに

小沢 もう作ったんですか

伊上 どうしましょうか

小沢 どうしましょう

伊上 食べていいですか

小沢 かなり量ありますよこれ

伊上 ・・・・・・・・・

小沢 無理しないでくださ

伊上 食べます

小沢 大丈夫ですか

伊上 大丈夫です

小沢 そうですか

伊上 ではあんを作りましょう

小沢 具材は

伊上 ではこの肉で、結構いろんな物と合いますよ

小沢 例えば

伊上 あんことか

小沢 無理しないでください

伊上 やっぱり無理ですこの量は

小沢 ちょっと気付くのが遅かったですね

伊上 どうしましょうか

小沢 どうしましょう

伊上 山本さん食べますか

小沢 押しつけるんですか

伊上 食べてくれますか

小沢 あ、ありがとうございます

伊上 書籍化したときにスペシャルサンクスで入れときますから

小沢 スペシャルサンクス好きですね

伊上 スペシャルですから

小沢 言葉のマジックですね

伊上 では肉を皮に詰めましょうか

小沢 いつの間に出来たのでしょうか

伊上 出来あがったものがあちらに

小沢 こちらに用意しておいてください

伊上 もう1つがこちらに

小沢 では詰めていきましょう

伊上 この皮は自分でも作れるんですよ

小沢 どのように作るんでしょうか

伊上 ちょっと説明すると長くなるんでね

小沢 何故言ったんでしょうか

伊上 今度の放送で作りますので

小沢 皮にそんなに時間を費やさないで下さい

伊上 では今度食事しながらでも

小沢 視聴者に説明してください

伊上 肉を詰め終わりましたね

小沢 いつの間に出来あがったのでしょうか

伊上 デジャブですね

小沢 そういう事はいいです

伊上 では焼いていきましょう

小沢 ポイントなんかありますか

伊上 無いです

小沢 何かお願いします

伊上 と言われましても・・・

小沢 このままではあれです、何か

伊上 ・・・フライパンはステンレスです

小沢 ポイントはステンレスです

伊上 もうそろそろいいですかね

小沢 もういいでしょうか

伊上 後5分くらいですかね

小沢 そしたら放送時間を過ぎてしまうのですが

伊上 では出来あがったものはどちらに

小沢 無くしたんですか

伊上 まさか山本さん食べましたか

小沢 山本さんあんこしか食べてませんよ

伊上 じゃあ現物ありませんけどおさらいしますか

小沢 分かりました

伊上 材料は肉、餃子の皮、塩こしょう

小沢 入れ忘れてないですか

伊上 ガラムマサラ

小沢 いつ使いましたか

伊上 山本さんの体を構成しているのがあんこ

小沢 山本さんヒーローじゃありません

伊上 レシピはホームページで

小沢 アドレスはこちら

伊上 と言ってもホームページはありませんが

小沢 何故言ったんでしょうか

2人 デジャブですね

小沢 しつこいですよ、展開読めましたよ

伊上 あ、時間ですね

小沢 お送りしました「山本直弘のカンタンクッキング」
   司会は小沢昇と

伊上 伊上貴敏で、餃子ありましたね

小沢 どうするんですか

伊上 山本さん食べ・・・吐きましたね

小沢 またお会いしましょう、さようなら

エントリーNO.035 エクスプレス
 [ステージ中央のテーブルの上に大量のサングラスが置いてある。]

広:…ここがサングラスバーゲンか。[テーブルに近づく]

浜:…お、やってるやってる。サングラス結構置いてあんなー。[テーブルに近づく]

    [二人ともテーブルのサングラスを物色し始める]

広:……………。

浜:……………。

    [二人とも同じサングラスに手をかける]

浜:あっ………。

広:あ……。……いいですよ。どうぞ。

浜:そ、そうですか。何かすいませんね。[早速かけてみる]

広:………………ちっ。

浜:おおっ、やっぱり思った通りだあ! 良いなあこれ!

広:[別のサングラスをかける]………おおっ! 何だこのサングラスは!

浜:ん?[広崎の方を向く]

広:この掛け心地、軽い感じ……。何をとっても素晴らしい!

浜:ええっ!? ちょ、ちょっとそのサングラス見せてもらえませんか!?

広:…あ、ええ大丈夫ですよ。 その代わり、あなたが今かけてるやつを見せてもらえません?

浜:あ、もちろんですよ! どうぞどうぞ!

広:お、ありがとうございまーす!

浜:・・・よーし、早速かけてみよう。

広:・・・よし。 ・・・うん、やっぱり良い掛け心地だわ。

浜:・・・・・・あれ? なんかあんまり他のと変わんないなぁ・・・。………ん?[広崎を見る]

広:[ニヤリ]

浜:・・・!?

広:ははっ、今ごろ気づいても遅いってんだ。 早速レジに行こう。

浜:・・・・・・うわっ、何だこれ!!
 
広:はうっ!?

浜:フレームに何かボタン付いてるぞ。 あ、レンズにDVD入るようになってるんだ!凄いなこれ!

広:え!? ちょ、ちょっと! それ・・・見せてもらえませんか!

浜:あ、良いですけど・・・そのかわり、あなたのサングラスを見せて下さいよ。

広:・・あ、これですか? はい、どうぞどうぞ!

浜:ありがとうございまーす。 はい、じゃあこれです。これでDVDが見れますね!おめでとうござあす!

広:そうなりますね! おおテンション上がるわこりゃ。 じゃあ早速かけてみっかな。
  サングラスを掛けてフレームのボタンを・・・ボタン・・・あれ、ボタンは!?

浜:・・・そのサングラスってね、DVDだけじゃなくて「夢も見れる」らしいですよ。あなたしっかり夢を見てましたねぇ。

広:え?・・・・・・あっ!?[浜瀬を見る]

浜:[ニヤリ]

広:・・・!?

浜:大体DVDよりサングラスの方が小さいのが普通じゃん・・・。 まいいや、そろそろレジ並ぼ。

広:・・・すいませーん、ちょっとお話だけ聞いてもらえませんかぁ?

浜:え!? い、いきなりなんなんですかあなた!

広:いや、決して怪しい者とかじゃないんですけどね、ちょっとお話したいことがあるんですよ。

浜:いえ、そういうのはちょっと・・・

広:・・・あなた、今サングラスがほしいんじゃないですか?

浜:・・・は、はい・・・!! どうしてわかったんですか!?

広:私もこの業界長いですからね。そのくらいわかるんですよ。
  これで私のサングラスについての話を聞く気になりましたでしょ?

浜:はい! 是非聞かせて下さい!

広:えーとですね、今私はこのサングラスをお勧めしてるんですけども、
  こちらですね、何とレンズからマイナスイオンが出るんですよ! 凄いでしょ?

浜:え、でもそれって本当なんですかあ?

広:信じられないとお思いですか。まあでもこのサングラスの凄いところはそれだけじゃないんですよ。
  これをお湯の中に入れるとね、良いおだしが出るんですよ!鰹節の比じゃないですよ。

浜:・・・ほ、本当ですか!! か、買います! 運命感じます! 買わせて下さい!

広:わかりました。では代金ですが・・・・・・あ、あなた何やらサングラスをお持ちですね。
  それと交換するのはいかがでしょう。 そうすればあなたはお金を払わずに済みますし。

浜:え、良いんですか・・・? いや、それは私の気が済みません。
  どうかこの1万円だけでも受け取って下さい! ほんの気持ちだけですから!

広:そうですか、じゃあこちらもお礼に・・・[厚い本を取り出す]
  こちらの広辞苑も買いませんか? 今なら1万円なんでs・・・

浜;買います! 買います! もう何でも喜んで買わせていただきます!

広:何かすいませんね・・・じゃあ、私はこれで。

浜:ありがとうございました! ・・・何か今日はラッキーだなぁ。早速掛けてみよう。
  ・・・・・・うん、マイナスイオンとか正直よくわかんないなあ。
  じゃあだしだ。だしをとってみよう。 でも鍋とか無いしなあ・・・

広:[突然走ってくる]ハァ、ハァ、この鍋とガスコンロ、5万円で買いませんか!?

浜:買います、はい5万円! ありがとうございます! ・・なんて気が利くセールスマンなんだ。
  じゃあ早速お湯を沸かして・・・・・・よし、そろそろ良いだろ。
  お湯がだし汁になってるはずだ。
  [飲んでみる]・・・・おお!コクがすご・・・くない・・・・・お湯だ・・・・・・あれ?・・・・・・はっ、まさか!?

広:[わざと大声]いやあ、あの人からはまるでだし汁のように金が出てくるなあ。

浜:あ、あの野郎・・・!

広:[大声のまま]あれ、怒ってるってことは、もしかしたらマイナスイオンも出てないのかなぁ?

浜:・・・・・・!!

広:[ニヤリ]

浜:・・・・・・。

広:よし、今度こそ早くレジに並んで買っちゃおう。

浜:・・・あ、すいませんちょっといいですか?

広:いや、僕はちょっと急いでるんで・・・

浜:ちょっと手をみせてもらって良いですか?  ・・・むむっ! これは!

広:え、何です!?

浜:実は僕占いやってるんですがね、あなたの手から何やら変なオーラを感じまして・・・。
  ですから是非あなたの手相をうかがいたいと思いまして・・・。

広:あ、どうぞどうぞ! 僕の手相はどうなんですか!?

浜:あなたの未来が見えます・・・。 この後あなたがこのサングラスを買う姿。

広:お、そうですか! よし・・・。

浜:その後に・・・あれ、何やら大柄な男に囲まれてますね・・・。

広:え!?

浜:殴られてますねー、あ、蹴られてますねー。 お、金も取られてますねー。

広:ん!? ほ、本当なんですかそれ!?

浜:やはり不幸な運命があなたを待っていたようです・・・。

広:・・・ど、どうすればいいんですか!?

浜:・・・どうやらそのサングラスを買ったことが原因のようです。
  ですから、そのサングラスを私に渡してしまって下さい。そうすれば大丈夫でしょう。

広:そ、それで僕の命が助かるんですね・・・。なら喜んでそうします。ここに置いておきますね。

浜:ありがとうございます。 あ、それでは早く占い料の7万円を下さい。

広:ちょ、金取るんですか!?

浜:誰のせいで命が助かったと思ってるんですか?

広:・・・それもそうですね。じゃあ7万円です。

浜:ありがとうございまーす。 ではサングラスを・・・あれ、サングラスは!?

広:え、さっき僕そこに置きましたよ!? 何で無くなってるんですか!?

浜:誰かに奪われたってこと・・・なんですかね・・・。

広:そんな・・・欲しかったのに・・・

浜:ああ、もうちょっとで手に入ったのに・・・

広:え、あなたまさかその目的で僕に近づいてきたんですか!

浜:い、いえそういう・・・。・・・で、でもあなたこそ変な物売りつけてきたじゃないですか!

広:う、うるさい とにかくさっきの7万円返せ!

浜:は、お前も同じ額奪ったんだからチャラだろ!?
  こんな古くさい辞書なんか売りつけやがってこの野郎![投げつける]

広:あ、いてぇじゃねぇかこの野郎! ぶっ飛ばしてやるわ!

     【だんだん暗転していく】



     【明転する】


[浜瀬が投げた辞書が床に落ち、ページが開かれた状態になっている。
    サングラスを持った通行人がその辞書を拾い上げ、ページに書かれた文章を読む]

??:・・・「漁夫の利」。両者が争っている間につけこんで、第三者が利益を横取りする例えのこと。

エントリーNO.036 オフィシャルスパイ
やぁ僕は勇者だよ。

今日は旅の途中で宿屋に泊まっているんだ。

ウフフのフ。笑いが止まらないね。

何故笑いが止まらないのかって?

今日は女僧侶の魔法でアレをなおしてもらったんだ。

アレってなに…だって?

そうだなー…勇者の剣…とでも言っておくよ。

それでその勢いに乗って今勇者の剣で一暴れしてきたよ。

勇者の剣で一暴れって…今宿屋にいるじゃないか…だって…?

…なんとなく察そうよ!

おっと、ついムキになってしまった。

一暴れといっても結構苦戦したよ。

石化させられたしね、一部。

でも、勇者の剣を刺したら大人しくなったよ。

特殊効果発動でまた一段と…ウフフのフ。

僕の経験値は凄い事になってウフフのフというわけなんだよ。

さて、そろそろ話は終わりにして自分の寝床へ戻らないと。

おっと、この話は女戦士には内緒だよ。なんでかは自分で考えようね。

寝床へ戻る前にこの部屋のタンスでも調べようか。

「勇者はタンスを調べた!」

ぱ、パンティだ!やったぁ!

「勇者は熊さんパンティを手に入れた。」

ちょっと履いたり被ったりしてみたいなぁ…。

よし。

「勇者は熊さんパンティを装備した!」

ん?なんかおかしいな。

「熊さんパンティは呪われていた!」

えぇぇっ!!は、外せない!!

あぁっ!大きな声を出したら女僧侶が目を開けてしまったよ!

こんなトコ見られたらマズイ…逃げろー!!



フー…危ないところだった…。うっ!

う…は…腹の調子がおかしい!

トイレに…いかなくちゃ…!



よし、間に合ったー。

出すぞー…ってパンティが脱げない!

呪いを解く魔法は覚えていないし…こうなったら…。

「勇者はファイアを使った!」

うわぁぁぁぁ!!

「熊さんパンティは燃え尽きた!」

うわぁぁっ!熱いっ!熱いっ!!

ウォ…ウォシュレーット!!

「勇者はボタンを押した!ぴゅううううう…ブリッ…」

ふぅ…なんとかなったよ…パンティを被れなかったのは残念だけど。

「もじゃもじゃ度が5アップした!」

そ、そこは恥ずかしいんだから報告しないで!



なんとか排泄完了だね。

だけど全裸になってしまったよ。

何か着るものないかなぁ。

「勇者はトイレを調べた!薬草を手に入れた!」

薬草…まぁいいか。

「勇者は薬草を装備した!」

これじゃあ、なんか変態っぽいなぁ…まぁ変態なんだけども。

ちょっとこの格好も癖になりそうだよ。

よし…もうちょっと調べてみようか。

「勇者はトイレを調べた!槍を手に入れた!」

「勇者は薬草を外し槍を装備した!」

うーん…これはちょっと…。

流石に勇者の剣の上に槍を装備するのは無理があったかな。

「勇者は槍を外し薬草を装備した!」

やっぱり槍よりこっちの方がいいね。

槍もせっかく見つけたからとりあえず持って行こうか。

みんなに見つかると気まずいからさっさと女僧侶の部屋にそっと戻って服を着ようっと。

あっ!向こうから女戦士が来たっ!!

見られたらまずい!

「勇者は逃げ出した!しかし逃げた方向には女僧侶がいた!」

ああっ!!

「勇者は逃げられなかった!」

も…もう…ダメだ…こうなったら…槍で腹貫いてこの現実から逃れるしか…!

「勇者は自分に攻撃!58のダメージ!」

フッ…僕はこのまま原住民のような格好で息絶えるのか…ハァ…。

「女戦士は勇者の薬草をひっぺがして使った!勇者はHP40回復!!」

ひぃぃぃぃっ…!!!

エントリーNO.037 WAOWAOPANIC
A:(トイレも済ませて、ポップコーンも大量に買って、飲み物のオレンジソーダも用意してと。
   完璧。映画見るにはふさわしい状態だ。早く始まれ!ハリーポッチャリ!)

B:(ハリーポッチャリがやっと見れる。結構待ったからな。
   早く見たいな〜。トンガリガリコーン食いながら見たいな〜。)

A:・・・!
  (うわ、隣の人なんて格好してんだよ。水泳帽に海パンに浮き輪・・・海水浴か!
   うわぁ・・・場違いがいるよ。どうしよう。)

B:・・・!
  (さっきから隣の人の視線が痛い。・・・あ、もしかして。)
  あの。
A:・・・は・・・はい?
  (やべぇ話掛けられた!周りから見れば、この人達は友達なんだって勘違いされちゃうよ!
   俺をこんな場違いヤロウと一緒にされる以上の屈辱はない!)

B:・・・トンガリガリコーン・・・食べます?

A:(うわ、得体の知れねぇ食い物を勧めてきやがった!トンガリガリコーンってなんだよ。
   ガリが1個多いよ。気持ち悪い!)
  ・・・いや、いらないです。

B:(うぜぇ!食いたそうな目してきやがったから勧めてあげたのに。
   トンガリガリコーンなんて裏のルートでしか手に入らない代物なのに。)

A:(結構席空いてるのに、こいつ何で俺の隣に座ってきたんだよ!)

B:(・・・この人の服装、夏なのに長袖って。)
  どんな格好で来てんだよ。

A:(さらっと小声で何か言ってきた!海水浴姿のお前には言われたくねぇよ!
   こいつ自分の立場分かってねぇな。絶対。)

ブーーーーーーーー

A:(おっ、やっと始まる。)

B:(やった!)

A:(うわぁ・・・やっぱ映画館で見るほうが迫力あるな。)

B:はりー、はやくおきなさいちこくするわよ・・・

A:(何だよコイツ!字幕を小さい声で読み始めたよ!うるせぇ!
   海水浴姿よりは大して驚かねぇけどよ!)

B:なにをしてるの・・・あの漢字読めねぇ。

A:(うっとうしい!・・・しかもさっきから俺の肘置き奪ってきてるし!
   俺が肘置く度に置き返される。なんだよこいつ。)

B:ぺろぺろぺろぺろ・・・ガリボリバリボリ・・・

A:(食い方!なめてから食うとかどんな食べ方してんだよ!
   しかも音うるせぇし腐ったヨーグルトみてぇなにおいするし!)

B:ちゅー・・・ちゅー・・・

A:(うあぁ!俺のソーダ勝手に飲み始めた!)

B:・・・ぶくぶくぶく。

A:(しかもストローから空気入れてブクブクし始めた!助けてぇ!
   ・・・もうソーダは諦めるか。)

B:美味しかった。

A:(やっと飲むのやめてくれた・・・ってストローの先っちょ噛んでる!
   歯で噛んだ後が結構ある!しかも、オレンジソーダの橙色が若干黄色っぽくなってる!
   こいつのトンガリガリコーンのカスが入ってる!)

B:バリボリ・・・バリボリ・・・

A:(何事もなかったかのように食い始めて・・・。ちくしょー!
   そうだ。ポップコーン食おう。)

B:(あ・・・うまそうなポップコーンだ。どうにかしてもらえないかな・・・。)
  ちょ・・・ちょっと!

A:(映画の真っ最中に話かけられた!なんだよこいつ!)
  ど・・・どうしましたか。

B:それ僕のポップコーンでしょ。

A:ち・・・違いますよ。僕が最初っから買ってたヤツですよ。

B:証拠は?

A:(こいつの発言小学生並だ!)
  しょ・・・証拠なんてあるわけないじゃないですか。レシートも捨てちゃったし。

B:じゃあ半分くださいよ。

A:(なにこの図々しい秘策!最後にポロっと本音出ちゃってるし。)

B:ゴホッゴホッ!ペッ!

A:(うわ、大胆にポップコーンに向かってせきしてきた!しかもツバも入れてきたよ!
   もう食えねぇどころか食う気なくなったよ。なんていう技だ!)
  ・・・もうあげますよ。

B:いいんですか!?

A:(うぜぇ、そのリアクション非常にうぜぇ!最初っから狙ってたくせに。)

B:ムシャムシャ・・・バリムシャ・・・ペロペロ・・・

A:(くそ・・・今からでも席を替えるか。)

Aが横5列目に移動する

A:(よし。これでだ・・・何かついてきてるし!何事もなかったかのように横に座ってるよ。)

B:バリムシャ・・・

A:(さっきから若干浮き輪が当たってる!俺のスペースほぼ0に等しいよ。
   って全然映画見てねぇ。・・・ってか今クライマックスじゃん!
   何がどうなってこの場面に来たんだ!?)

B:アイワズレジェントって知ってる?

A:(なんだよこいつ!ハリーポッチャリ見てる最中に別の映画の話してきた!
   しかも普通に友達口調だし!助けて!)
  ・・・今見てるじゃないですか。やめてください。

B:・・・あ、ハリーこの後蛇に噛まれて死ぬよ。

A:(言うなぁぁぁ!!食べ物奪われた上に楽しみまで奪われた俺に何が残る!
   まさかネタバレしてくるとは思わなかった。)

ブーーーーー

A:(あぁ・・・あっという間に映画終わっちゃったよ。何ひとつ印象に残ってねぇ。
   ソーダの色が変わったことと地味に浮き輪が俺のスペース潰してたことくらいしか覚えてねぇ。
   俺の1時間を返せ。)
  くそ。次回作に期待するか。

B:いや、驚愕の最後でしたねぇ。まさか死ぬとは。

A:・・・ってかお前なんだよ!結果言うなよ!ソーダ飲むなよ!ポップコーン奪うなよ!
  ってか海水浴姿っておかしいだろ!

B:・・・。

A:黙ってないで何とか言えよ!

B:次回作ではロンが死ぬよ。

A:言うなぁぁぁぁぁ!!!

エントリーNO.038 モンブランジャム
善田:(カリカリ…カリカリ…)
城島:??????。
善田:(カリカリ…カリカリ…)
城島:??????。
善田:おい城島、お前も勉強しろよ。
城島:いや、無理だろ…。
善田:無理ってことないだろ、今頑張らずにいつ頑張るんだよ。
城島:いや、でも…。
善田:城島…。センター試験まであと400日を切ったんだぜ?
城島:浪人してるじゃねぇか。実際はあと一ヶ月くらいだろ。
善田:え?でも親は俺が一浪する前提で、その準備も進めて行ってるけど?
城島:諦めるの早くないか!?もう少し我が子に望みを託そうよ。
善田:前もって悪い方に考えといた方が結果が出た時落ち込まずに済む、みたいな発想だよ。
城島:受験でその考えはやめた方がいいと思うけどな。
善田:でもさ、勉強しないとお前もマジで浪人するかもよ?
城島:いや、勉強する気はあるんだよ。なぁ、やっぱ俺家帰ってもいい?
善田:ダメだよ、家じゃ集中出来ないからここに来たんだろ。こう飯食う場所でやればいいと思って。
城島:…あのな、その場所に問題があるんだよ。
善田:……えっ?どゆこと?
城島:どゆことじゃねぇよ!場所に問題あるって言ったんだよ!なぁ、俺らは一体どこで勉強しているのだろうか!?
善田:いや、だからこうして広い座敷の予約を取って…。
城島:それだよ!どこの世界に受験勉強に高級料亭使う奴がいるんだよ!
善田:だって、お前が食事も兼ねられるような所で勉強したいって言ったから…。
城島:普通はファミレスとかにするだろ!何故料亭の、しかも大部屋の予約を取った!?
善田:そりゃあ、広い方が解放感を持てて良いと思ったから。
城島:逆に孤独感を覚えるわ!十人用の部屋にたった二人だけって。
善田:別にいいじゃんかよぉ。
城島:大体何だあれ、入口の「御予約 善田様御一行」って!
善田:結構予約取るの大変だったんだよ。まぁ乗り掛かった舟だし、季節の山菜でも食べて落ち着こうぜ。
城島:落ち着けません!店入る時、店員の不信そうな視線気にならなかったのか!?それにさ、とてもじゃないけどお金支払えないよ?
善田:へ、もひはひてよふぁんのほほひにひへる?
城島:山菜をほお張りながら話すな!くつろぎ過ぎなんだって。
善田:(ゴクッ)もしかして予算の事気にしてる?大丈夫大丈夫。
城島:何でだよ。たくさんお金持ってるのか?
善田:まぁ一切相談せずに料亭を予約した俺に責任があるしね。だからお前はお金の事は考えなくていいから。…にしても美味しいなこれ…。
城島:美味しいなじゃないよ全く…。
(ガラガラ)
城島:あ、はい…。まだ前菜の山菜食べ終わってないです…。はい…。…へぇこれが…。美味しそうですね…。ありがとうございます…。 (ガラガラ)
善田:おい聞いたか!?ヤマメのからあげだってこれ。旨そうだなぁ…。
城島:少しは状況読めよ!今凄く気まずい空気流れたぞ!
善田:え?何で?
城島:料亭の大部屋にぽつんとたたずむ二人、しかもどっちも高校生、あげくに皿の横に並べられた勉強道具って誰の目にもおかしく映るだろ!
善田:そんな事よりさぁ、早く食べようよ。珍味も多いし。
城島:珍味とか言ってんじゃねぇよ!俺らの方がよっぽど珍しいわ!
善田:こう話し合っても無駄だし、諦めて食べながら勉強しようぜ。
城島:いや、出来ないだろ常識的に考えて…。
善田:(カリカリ…)、(カリカリ…)
城島:おーい…善田くん……。
善田:(カリカリ…)、(カリッカリッ…)、美味しいな…。
城島:からあげ食べてただけか!勉強してるのかと思ったわ!
善田:外はこんがり揚がってるんだけど中はホクホクでヤマメの味わいがにじみ出てるよ…。
城島:知らねぇよ!食いながらやるなって言ってんの!
善田:なぁ、ところでこっちのキレイな飾りみたいなのは食べられるのかな?
城島:確かに庶民には判断しづらいものもあるけども!
善田:あ、これ法事の時食べたことあるわ!
城島:高そうだな!もっと味わって食おうぜ!
善田:今は大人だから美味しく頂けるけどさ、子供時代は何が美味しいのか分からずこんなの残してたよな…。もったいない…。
城島:思い出に浸られても困るから!大体18歳ってそこまで大人とは言えないし!
(ガラガラ)
城島:あ…はい…。山菜はまだ食べてません…。いえ、嫌いじゃないです…。いや、後から誰か来るとかそういうのはないです…。はい…はい…。分かりました…。
(ガラガラ)
善田:へぇ!こりゃまた旨そうな寿司だなぁ!早く食べよ食べよ!
城島:とことんKYか!いい加減向こうの不信感も最高潮って感じだったぞ!
善田:城島、お前ウニは食べられる?
城島:俺の好き嫌いはどうでもいいよ!いや、マジで早く帰ろうよ!頼むから!
善田:しつこいなぁ。そこまで言うのなら分かったけど、料理は全部食べてから帰ろうよ。
城島:……まぁそうはしたいけど…。
善田:(パクパク)えっと、ウニは等黄卵で卵割の形式も等割…。あと、調節卵の性質も持つんだな…。
城島:だから勉強しながら食うなよ!しかもウニ食いながらウニの発生の勉強って!
善田:ちょっとまだ復習の途中なのに。これじゃ二浪しちゃうよ。
城島:だから親の言った一浪を念頭に置くなって!
善田:だったら勉強させてくれよぉ。一浪のための準備が、二浪のための準備になっちゃうよ。
城島:知らないよ。……あ、そうだ。一方が問題を出してもう一方が答える、ってのはどう?それなら料理食べながらでもまだマシだし。
善田:え〜、一人でやった方が効率が良いのに〜。
城島:そんな事言わない。ほら、道具はしまってしまって。
善田:ブゥ〜。(渋々勉強道具をしまう)じゃ、俺が問題出すよ。
城島:OK。
善田:じゃあ日本史いきまーす。江戸幕府が長崎貿易で輸出していた“俵物”ですが、イリナマコ、フカノヒレ、他に何があるでしょう?
城島:えーと…干しアワ。
善田:正解!アワビですねェ〜、そう、今俺らが食べているアワビなんですよねェ〜。このアワビのお寿司美味しいですねェ〜。
城島:??????。
善田:じゃあ次は文学史も絡めていきまーす。プロレタリア文学運動で活躍した小林多喜二ですが、彼の代表作は、何、工船?
城島:……蟹工船…。
善田:そう!蟹なんですよねェ〜。俺らが今食べてる蟹のお寿司、美味しいですねェ〜。タラバガニですかねェ〜。
城島:わざとやってるだろ!嫌がらせにしか見えねぇよ!
善田:そ、そんなつもりはないですけどねェ〜。
城島:その語尾の「ねェ〜。」が鼻につくんだよ!今までそんな言い方してなかっただろ!
善田:え、普通ですけどねェ〜。
城島:だからそれやめろ!
(ガラガラ)
城島:あ…どうも…。一通り食べ終わりました…。はい…美味しかったです…。え、山菜ですか?あ…食べるの忘れてました…。下げていいです…。いえ、嫌いじゃないんですけどねェ〜…。
(ガラガラ)
善田:あ、お前だって「ねェ〜。」使ってたじゃねぇか。
城島:やかましいわ!動揺してこのフレーズが出て来たんだよ!
善田:ちょ、逆ギレですか?
城島:もういいから!食べ終わったし帰ろうぜ!……お金はお前が持ってるんだよね?
善田:うん、持ってるよ。ほら、こんなに。
城島:!!何でそんなに持ってるんだよ…。
善田:まぁ、これで絶対に現役合格しなきゃいけなくなったけどな。
城島:??????。どういうことだよ?
善田:これ、浪人して予備校に行くためのお金なんだよね。その時に使いなさいって親が…。
城島:やっぱお前の親周到ですねェ〜!!





エントリーNO.039 サイドハンド・ボーラーズ
あべ:さて、今日はもう寝ようか・・・・


(窓から、黒いマントをかぶった、歯が鋭くとがっている男が侵入してくる)


あべ:・・・だ、誰ですかあなた!? ちょ、ちょっと、人の家に勝手に入らないで下さいよ!
   しかもなんですかその格好!? なんでそんな吸血鬼みたいな格好をしてるんですか?

おか:俺はドラキュラだ・・・ 本物のドラキュラだ・・・

あべ:えっ、本物・・・ マジでか!?
     ウ、ウソだろ、でもまさか、本当だとしたら俺、今からこいつに襲われるのか!?
   そ、そんな、やめてくれ、ウソだろ!?

おか:だから、皿をくれ・・・俺に皿をくれ・・・

あべ:・・・・・・えっ? 皿?

おか:そうだ、皿をくれ。

あべ:い、いやちょっとどういうこと!? ドラキュラっていったら血を欲しがるんじゃないんですか!?

おか:いや、欲しいのは皿だ。俺はドラキュラとして生まれる前に、脳の遺伝子が突然変異を起こして、
   「血」ではなく「皿」が好物になってしまったみたいなんだ・・・

あべ:なんだそれーーっ!? そんなこと現実にありえるのか!?

おか:とにかくそういうことだ。俺は吸皿鬼だ。

あべ:「きゅうさらき」か!?

おか:とにかく皿が欲しい! さぁ俺に皿をくれ!

あべ:いや、そんなこと言われても困りますって、出ていってください! 警察呼びますよ!

おか:やだ、呼ばないで、お願い。

あべ:帰ってくださいって!

おか:本当お願いです、この通りです、どうしても皿をもらえないのなら、サラダでもいいですから!

あべ:それ野菜じゃないか! いくら発音が似てるとはいえなんでまたサラダなんだ!?

おか:ノーマルな吸血鬼でいう、トマトジュースのような存在だ。

あべ:なんだその分かったような分からないような説明は!?

おか:とにかく皿かサラダのどっちかをくれ、俺がこの前に入った家ではどっちももらえなかったんだ、
   なんとか必死にお願いして、唯一もらえた物は「サラサーティー」だけだったんだ・・・

あべ:それ生理用品だろ! もはや「サラ」って文字がつけばなんでもありなのか!?

おか:いやそんなこと無いです、基本的に皿しか体が受け付けません、とにかく新鮮な皿をください、
   もう、自分のひざのお皿を自分で吸う生活にはウンザリだ・・・

あべ:そんなことできるんならそれでいいだろ! 自分のひざの皿を吸って自己満足に浸っておけばいいじゃないか。

おか;いや、もうそんな生活も限界だ・・・ だからお願い、お願いだから皿を・・・
     ここでもらえないともう死んでしまう・・・ 死んでしまったら、あなたは人殺しです・・・

あべ:どさくさにまぎれて人聞きの悪いこと言うな! ・・・もう分かった、そんなに言うなら分かったよ、
   皿をあげればいいんですよね?
   (皿を持ってくる)

あべ:はい、これでいいんですよね・・・

おか:(皿に吸いつく)

あべ:うわっ、ものすごい勢いで皿を吸っている・・・

おか:あーーーーー、やっと皿にありつけた・・・

あべ:これでいいんですよね、じゃもうさっさと帰ってください。

おか:でも・・・ この皿は、安物の皿だな。次はもっとおいしい皿をくれ。

あべ:ぜいたくを言うな! どんな皿がおいしいとかそういうの分からないし!

おか:じゃ次はもっと高級な、有田焼きの皿をくれ。

あべ:だからぜいたくを言うな! そんな皿、ウチには無いから!

おか:じゃそれなら、その代わりと言ってはなんだが聞きたいことがある。
   俺が昔からずっと吸いたいと思っている、幻の皿のありかを知らないか?

あべ:また何なんだその幻の皿ってのは・・・

おか:伝説の生き物、カッパの頭の上にのった皿だ。

あべ:カッパなんて実在しないから! そんなのどこを探してもいるわけないだろ!

おか:いや、人はそういうが俺は実在すると信じている。
   今まで、一度はついに見つけたぞと思った瞬間もあったんだ。

あべ:またどこで見つけたって言いたいんだ・・・

おか:ある日、街を歩いていると、なんとカッパの絵が描かれた大きな看板を見つけたんだ!
   そしてその看板の下にある店を見てみると、「寿司全皿100円」とかいう文字があった・・・

あべ:それ「かっぱ寿司」じゃないか! そんなとこに本物のカッパはいないから!

おか:それでもカッパがいることを信じて店の中に入ってみると、なんとそこにはたくさんの皿がゆっくりと回っている!

あべ:そりゃ回転寿司はそういうものだからな!

おか:俺はひたすら、皿の上にのってあったものを真下のレーンにどかして、そして皿に吸いついた。

あべ:ベルトコンベアにじかに寿司ネタを置くな! あと勝手に皿に吸いつくのもやめろ・・・

おか:皿の上にのってあった、かっぱ巻きをどかして皿に吸いついた。

あべ:確かにある意味「カッパの皿」だけど!

おか:しかし、吸いついてみたらそれは普通の皿だ・・・ 結局それは幻の皿ではなかった。

あべ:もう帰って! あなたの話なんてもうこれ以上は聞きたくもないし、はい、帰って!

おか:いや、だからまだあの皿だけでは満足できないんだ、今度は頼むから食器棚の皿を全部吸わせてくれ・・・

あべ:イヤだよ、お前が皿に吸い付くたびにいちいちその皿をまた洗わなくてはいけなくなるし!

おか:でももう我慢できない! 食器棚はどこだー!(家の中へと入っていく)

あべ:こら、勝手に家の中に入るな! 待てーーーっ!(追いかける)



おか:おっ、食器棚を見つけた、そして大きな皿も見つけたぞ!(皿を食器棚から取り出し、吸い付こうとする)

あべ:やめろ!(その皿を引っ張る)

おか:吸わせてくれ!(皿に吸い付こうとする)

あべ:だからやめろ!(皿を引っ張る)・・・あーっ!!

(バリーン!!)

あべ:あぁ・・・ 皿が床に落ちて、割れてしまったじゃないか・・・

おか:何やってるんだお前! 皿を虐待するヤツは許せない!

あべ:お前のせいだろ!!

おか:とにかく許せない、こんなに腹が立ったのは、
   以前、宴会だとかなんとか称して、棒のようなものの上に皿をのっけてグルグルと回して
   その皿を目舞い地獄へと陥れていく虐待シーンを見た時以来だ。

あべ:それ皿回し芸だろ! つーか皿回しとかは虐待で、皿に吸いつくのはOKってそんなのありなのか!?

おか:とにかくもう許さない、お前には罰として、罰として・・・・・・

あべ:何をするつもりなんだ!?

おか:お前のひざのお皿を一晩中吸い続ける。

あべ:(電話をかける)もしもし警察ですか? ただいま家の中に変な人がいまして・・・

おか:やめてーーーっ! 警察は呼ばないで、お願い。

あべ:ふざけるな、もう警察に住居侵入罪で捕まえてもらうから、もう出て行くな、逃げるなよ。

おか:呼ばないで、お願い。じゃもうこうなったら・・・ 俺の使用済みのお皿をあげるから許して。

あべ:そんなもんいるか! 想像しただけで汚いし全然欲しくないから!

おか:いや皿は皿でも、なんと「ヤマザキ春のパン祭り」でもらったあの皿だぞ。

あべ:それでも使用済みのは欲しくないから!

おか:欲しくないのか? 俺が一生懸命、ヤマザキのパンを食べて
   ポイントを集めて手に入れた皿をあげるんだぞ、それが嬉しくないのか?

あべ:つーかお前パン食べてるのか!? 皿とサラダしか体が受け付けないんじゃなかったのか!?

おか:とにかくそういうことでこの使用済みの皿をあげるから許してくれ、じゃ俺はもう帰る。
   それでは、さらばだ! 皿だけに! (そして家から出ていく)

あべ:最後はダジャレか! もう2度と来るなーーっ!

エントリーNO.040 みやこ
野崎:あー・・・今日は大学もバイトも休みだけど、やることなくて暇だなー。
   そういえば、電話で母さんが食料送ったっていってたな。一人暮らしの身にはありがたいよなぁ。
   ・・・でも、受け取ったあとも暇だろうなぁ・・・。

(ピンポーン)

野崎:はーい。

宮尾:(ガチャ)こんにちわー。宮尾急便でーす。

野崎:あ、ご苦労様ですー。あ、やっぱり母さんからか。ありがたいなぁ。

宮尾:では、ここの印欄にハンコをお願いします。

野崎:・・・・・・ん?

宮尾:いや、ですからハンコを・・・。

野崎:・・・ああ、はいはい!ちょっとまっててくださいね。

宮尾:?・・・ええ。

野崎:・・・えーっと・・・あ、あった。これですね!

宮尾:・・・は?

野崎:いやー、ちょうど饅頭買ってあってよかったですよー。あ、余った分は食べても結構ですよ。

宮尾:いや・・・アンコじゃないんですけど・・・。

野崎:え?違うの?

宮尾:違いますよ。印欄にアンコ塗りたくっても本人確認になりませんよ。
   ハンコをお願いしますよ。

野崎:ああー、ハンコね!・・・でもなんであいつ呼ぶ必要があるんですか?

宮尾:・・・あいつ?

野崎:そりゃ確かに僕はあいつの事が好きですし、将来結婚したいとも思ってますよ。
   もう、会うたびにぎゅっと抱きしめたいほど、あいつの作る味噌汁を毎日飲みたいほどにあいつを愛してますよ。
   でも、最近の配達って恋人にも確認をとらないといけないんですか?
   というか、なんで僕があいつと付き合ってるの知ってるんですか?
   ストーキングですか?宮尾ストーキングデリバリーですか?

宮尾:何の話をしてるんですか!さっきからあいつとか恋人とかストーキングって言うあらぬ事実とか!

野崎:え?僕の彼女のハン子ちゃんのことじゃないんですか?

宮尾:違いますよ!初耳ですよ、ハン子なんてありそうでめったにない名前の人なんて。

野崎:なーんだ、僕のかわいいハン子の事じゃなかったんだー。

宮尾:当たり前ですよ。聞いてもいないのにあなたのハン子への想いをずいぶん聞いちゃいましたよ。

野崎:ハン子かわいいんですよー。いつも周りの男性を釘付けにするくらいね。

宮尾:いや、だから聞いていませんて・・・。

野崎:その美貌から周りからは「高田総統」って呼ばれてるんですよ。

宮尾:いや、それ絶対いじめられてますよ!美貌なら高田延彦のギミックの名前なんか付けませんもん!

野崎:またね、明るくて元気いいんですよ。テンションが上がったら「今の私ならヒクソンも倒せる」っていうんですよ。

宮尾:中身も高田そのものじゃないですか!よくバラエティとかで言うセリフじゃないですか!

野崎:レストランとかに行ったときに、頼んだメニューがなかなか出てこないと、「ステーキ早く・・・

宮尾:「出てこいやぁ!」って言うんでしょ!?もう予想つきますよ!

野崎:もうかわいくてかわいくてしょうがないですよー。うーん、早くあってキスしたいなー。

宮尾:・・・一瞬想像しちまった・・・。うえ・・・。

野崎:ちなみにね、ハン子の実家は印鑑専門店なんですよ。ハン子の父さんも印鑑を作る職人でしてね。

宮尾:へー・・・って、その印鑑で思い出したけど、早くハンコくださいよ!

野崎:・・・えーと・・・ハンコ・・・?

宮尾:なんで印鑑を知っときながらハンコを知らないんですか!!
   ああ、もうめんどくさい!とにかく印鑑を出してくださいよ!一人暮らししてるなら持ってるでしょ?

野崎:ああ、持ってますよ。確かに一人暮らししてると隅々まで体を洗わなくなるんでね。
   もう、かゆくてかゆくて仕方ないですよ。
   でもあなたも変わってますね。こんな厄介な持病をほしがるなんて・・・。

宮尾:インキンじゃねえ、印鑑だよ!!
   すでに印鑑って言ってるのになんで間違うんですか!!

野崎:(ゴソゴソ)

宮尾:脱ぐな!!ズボン脱ぐな!!こちとら新婚で大切にしたい部分なの、ここは!!

野崎:インキンの輪を作ろう。

宮尾:そんな不名誉集団の輪なんか作りたくねえよ!!
   あーもう・・・冷静さを失ってて忘れてたけど、ハンコじゃなくてもいいわ・・・。
   サインでも結構ですよ。

野崎:サイン・・・?

宮尾:サインも知らないんですか!?

野崎:し、知ってますよ!サインでしょ?えと、あの・・・。
   ・・・サイがあばれた!!2度目だ!!サイの再災難!!サイサイナーン!!
   どう!?この一発ギャグどう!?

宮尾:・・・いいですか?サインって言うのは・・・。

野崎:え、あ、あの・・・。

宮尾:触れてほしいなら触れますけど?

野崎:・・・再災難防止策をとります。

宮尾:よし。で、サインっていうのは、ペンでこの印欄にあなたの名前を書いてくれればいいんです。それだけです。

野崎:ペン・・・?

宮尾:・・・もうこのパターンにうんざりしてるんですけどね。僕。

野崎:し、知ってますよ!ちょっとまっててください!えーと・・・(ピッピッピ)

宮尾:ちょっと貸してください。

野崎:あ、な、何をするんですか、人の携帯を!

宮尾:あー、いますねぇ。番号登録してる親友の人の中にベンって言う外国人が。

野崎:・・・もうベンでいいんじゃないですか?

宮尾:開き直りですか!?こっちが仕事放棄したいくらいの気分なのに!
   大体ベンを連れてこられたってどうにも出来ませんよ!

野崎:印欄にベンを貼り付けておけば・・・。

宮尾:うん、邪魔です!!ベンもいい迷惑です!!
   これくらいのことで開き直らないでくださいよ。ペンですよ、ボールペン。

野崎:あー、もしかして球筆のことですか?

宮尾:・・・ボールペンをそんな呼び方する人初めて見ましたよ。まあいいや、その球筆ですよ。

野崎:分かりました。探すのでちょっと待っててください。

宮尾:頼みますよホント。僕まだ配達の仕事が残ってるんですから。

野崎:えーと・・・ボールペンボールペン・・・。(ガサゴソ)

宮尾:今ボールペンってつぶやきましたよね!?球筆って呼んでたんならそんなに何気なく口にしませんよね!?

野崎:あ、万年筆がありましたけど、これではダメですかね?

宮尾:あ、ちょっと都合上他のペンでは困りますので、できればボールペンでお願いします。

野崎:はーい。(ボキッ)

宮尾:いや、折らなくてもいいんですよ!!
   誰も該当しないペンに報復をかませなんていってないですから!!

野崎:(ボキッボキッボキッ)

宮尾:うわあ・・・順調に折っていってる・・・。

野崎:楽しいですよ、折るの。あなたもやってみます?

宮尾:いや、いいですよ。

野崎:いいからいいから、ほらほら。

宮尾:いや、こんなにたくさん鉛筆渡されても・・・。まあいいや・・・やってみよ。(ポキ、ポキ)
   ・・・なんかいやにねとねとするな、これ・・・。

野崎:どうです?山芋の鉛筆は。

宮尾:何で作ってるんですか!!・・・ああああ、かゆいいいいいい!!
   通りで手がどんどんかゆみに侵食されていくわけだよ!!

野崎:ハン子からもらった思い出の品をそんなにけなさないでくださいよ。

宮尾:それ以前に、思い出の品を折らせるなよ!!

野崎:あと1000本くらいありますから。

宮尾:・・・ハン子の愛情表現が理解できないよ。

野崎:・・・あれ?あなたの胸ポケットに入ってるのって・・・。

宮尾:ん?・・・あ、そうだった、僕も持ってるんだった。すっかり忘れてた・・・。

野崎:持ってたんじゃないですかー!もー、ドジなんだから。

宮尾:あはは、すみません。では、これで書いてください。

野崎:はい・・・。・・・・・・・・・・・。

宮尾:ちょっとあなた・・・折ろうとしてるんじゃないでしょうね。

野崎:・・・・・・・・・・・折りてぇ〜・・・・・・・・はああああ〜・・・・・・折りてぇぇぇぇ・・・。

宮尾:唸るな!!ダメですよこれは!!

野崎:頼みますよ!!こんな美しいフォルムのボールペンなんてめったに拝めないですよ!?

宮尾:それ100円ショップで買った奴なんですけどね・・・。

野崎:頼みます!折った後もある程度書けるじゃないですか!それで書きますから!ね!?ね!?

宮尾:わ、分かりましたよ・・・。折った後にちゃんとサインくださいよ?

野崎:は、はい!!では・・・・・・・・・。


(バキッ!!!!)


宮尾:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

野崎:ふぁあああああ・・・・きんもちいいいいいいいい!!

宮尾:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

野崎:じゃ、サイン書きますね!・・・・・あれ?・・・・えーっと・・・。

宮尾:・・・・・横に割ったボールペンじゃ書けるわけねえだろおおおお!!

野崎:あ、そ、そうか!

宮尾:あーあー、きれいに中身も金具の部分もぱっくり逝っちゃってるよ!!
   怒りの反面、馬鹿力と器用さを持つ君に感心するわ!!

野崎:まだ折りたい(ボソボソ)・・・・・・わ、分かりました、このアパートの誰かから借りてきます!!

宮尾:聞こえてるんだよ!!折りたいボルテージを小声で表してたよ!!
   もうだめだ、あんたにペンの類は渡せない!!こうなったら最後の手段だ。

野崎:な、なんですか?

宮尾:拇印でお願いします。

野崎:いや、うちのハン子は・・・。

宮尾:拇印というのは親指に朱肉をつけて押すことです。

野崎:胸は・・・。

宮尾:ボインだろうが洗濯板だろうが高田並みの筋肉だろうが関係ないので拇印お願いします!!

野崎:あ、はい・・・。

宮尾:では朱肉を・・・。

野崎:しゅにく・・・?

宮尾:今度は忘れません。僕も持ってるのでご安心を。

野崎:(チッ)

宮尾:なんで舌打ちするんでしょうか!?もしかしてこのパターンわざとやってたんですか!?

野崎:い、いえいえ!!じゃ、じゃあ・・・・(ペタペタ)(ペロン)(チュパチュパ)(ペタン)
   うえぇ・・・押しました。

宮尾:・・・朱肉おいしかったですか?

野崎:全く。

宮尾:でしょうね。なんかあなたを逆に褒めたい気分です。
   さて、やっと無事に押せたみたいなのでそろそろ帰りますね。

野崎:ホントにお疲れ様でした。

宮尾:あなたに言われると嫌味に聞こえますがありがとうございます。
   では・・・。はあ、疲れた・・・。明日有休とってやる。

(バタン)

野崎:・・・・・・・あっはっはっはっは!!
   あー、楽しかった!!
   イヤー、知らない人をからかうって楽しいなぁ。
   いくらなんでもペンもハンコも知ってるっつーの!
   普段からペンも折らないっつーの!!もったいなかったけど!
   あと彼女なんていないっつー・・・。
   インキンなんて・・・。うん、もう自分自身を追い込むのはやめよう。
   でも、いい暇つぶしになったわぁ。

   さて。母さんからの荷物なんだろ。(がさごそ)

   ・・・またこれか・・・。あ、手紙が入ってる。


「光一郎へ

あなたの大好きな山芋鉛筆を送ります。
きれいに芯を取り除いて食べてくださいね。
まだ彼女も出来ていないそうですね。
大丈夫、あなたのフェロモンならヒクソンも倒せるわ。
光一郎にふさわしい彼女、出てこいやぁ!!

では、体に気をつけてくださいね。

あなたを愛する母 野崎ハン子より」


野崎:・・・冗談とはいえくだらない見栄張っちまったよなぁ・・・。


トップページに戻る
inserted by FC2 system